プロローグ

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「ごっつぁん。」 圭は部活の朝練があると、しばしば涼介と一緒に朝食をとる。不器用な父親の作った濃い味噌汁をどうにか飲み干して席を立つ。 「圭!今日火曜だぞ。大学行く前にしっかり皿洗ってけよ。」 涼介は保険会社に勤めるホワイトカラー、もとい営業マンである。交通事故で妻の瑠美(るみ)を亡くしてから男手一つで息子の圭を育ててきた。しかし上司や同僚、果ては圭にも一言も愚痴をこぼさず働いているのは、片親の元に身を置く圭への、彼なりの償いだ。
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