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こうしてみると、母と娘……というか姉と妹のようにも見え、微笑ましい。
「は、離したまえよっ……ただでさえ暑苦しいというのに……」
「もう、ここではそんな堅苦しくならなくてもいいのよ? もっとリラックスして……そのための時間なんだから」
嫌がる揚羽を更に強い力で抱き込むカンナさん。揚羽に煙たがられているという事実に素で気付いていないのもカンナさんのすごいところだと思う。
「必要ないね。私は君たちに精神面を心配されるほど脆弱でもなければ、弱くもない」
「また、強がっちゃって」
半面、揚羽は顔をしかめたままカンナさんに抱きかかえられている。
「じゃあカンナさん、あとはよろしくお願いします。時間になったらまた向けに来るので」
その瞬間、揚羽に睨み付けられる。私を置いていくなという意味合いの視線だが、僕は見なかったことにする。
これは別に僕の気分でやっている事では無く、揚羽を監督する上で必要な時間であり、義務でもある。揚羽が嫌々従っているのも、カンナさんとの面会が義務と定められているから。
「あら、帰るの? 面会が終わるまで紅茶でも飲みながらここで待っていてくれてもいいのよ? どうせ人なんかほとんど来ないし」
「いえ……報告書やら色々残っているので、一旦戻りますね」
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