第二話 『高慢Ⅱ』

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 揚羽の頭上で、風間が皮肉っぽく言う。彼もこの『SC計画』には嫌悪を示していた。犯罪被害者の、しかも幼い子供を利用するこの非人道的な計画に。  だからこそ、風間は揚羽が捜査に参加することを快く思っておらず、揚羽に対する当たりも強い。  揚羽も風間刑事の事が苦手らしく、捜査の際にはどちらかというと僕の方に懐いている。 「そんなことはないさ風間刑事。さっき、『感情』は感じられないとは言ったが……正確にはそれは殺意や憎悪と言った『負の感情』のことだ。その代り、僅かだが……遺体には『愛』の感情を感じた」 「愛だぁ? 説明してみろ」  揚羽の見解に、風間は怪訝そうな表情を浮かべる。風間は揚羽を未だに信用してはいないようだ。いくら揚羽に実績があると言っても、風間にとっては子供の妄言にしか聞こえないのかもしれない。 「犯人は、彼女たちを愛していたから……彼女たちのため、救うために犯行に及んだ。少なくとも犯人はそういう思想を持って、犯行に及んでいるんだと思うよ。自分で言っていても、支離滅裂だとは思うけれど」  揚羽はこうも簡単に犯人像を予測する。こんなことだけで犯人の生態が予測できるのか、僕も最初は疑っていた。  けれど、揚羽は確かに読み取るのだ。遺体、現場に残されている犯人の痕跡から、犯人と同じ視点に立ち、『同調』する。そして、犯人像を導き出す。     
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