第二話 『高慢Ⅱ』

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「だから……その子供をあやすような態度はやめてくれないか。全く……君もほかの大人たちと同じような態度で構わないんだよ。いや、ぜひそうしてくれ」  揚羽の言うほかの大人たちと同じ態度というのは、揚羽を道具としてしか見ていない……そういう態度のことだ。揚羽はそのほうが余計な詮索もされずに楽なのだと言うが、それはきっと強がりなのだと僕には分かる。 「まぁいい……話を戻すと、子宮とは、親が子を最初に宿す神聖な場所、いわば親と子の最初の繋がり。犯人は子宮を神聖視している傾向がある。その原因として、犯人自身の両親が関わっている可能性が高い……ということさ」  揚羽はなるべく子供らしさを排除して、大人らしくいなければならないと思い込んでいるようだ。この独特な喋り方だって、その一環なのだろう。彼女が無邪気に笑ったり、はしゃぎ回る自由を僕たち大人が奪っているのだ。 「分かった、その線で調べてみるよ。じゃあ今日はもう引き上げようか……疲れただろう」 「……君は私を馬鹿にしているのか。こんな短時間で疲れるほど、私は軟弱だと思われているのかい」  揚羽は不満そうに僕を睨み付ける。だが、その通りだ。普段からほとんど引きこもり同然の生活をしている彼女に、この暑さは堪える。そして、それ以上に僕は彼女の精神面が心配なのだ。     
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