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「だから……その子供をあやすような態度はやめなさい。全く……慶介も他の大人たちと同じような態度で接してくれれば良いのに」
揚羽の言う他の大人たちと同じ態度というのは、揚羽を道具としてしか見ていない……そういう態度の事だ。揚羽はその方が余計な詮索もされずに楽なのだと言うが、それはきっと強がりなのだと僕には分かる。
「まぁ、良いわ……話を戻すと、子宮とは親が子を最初に宿す場所。そして、愛する人との愛の結晶が育つ場所。犯人は子宮に対して異常な執着がある事は明白よ。その原因として、犯人自身の結婚や妊娠が関わっている可能性が高い……それだけの事。分かった?」
揚羽はなるべく子供らしさを排除して、大人らしくいなければならないと思い込んでいるようだ。この大人びた喋り方だって、その一環なのだろう。彼女が無邪気に笑ったり、はしゃぎ回る自由を僕たち大人が奪っているのだ。
「分かった、その線で調べてみるよ。じゃあ今日はもう引き上げようか……疲れただろう」
「……慶介は私を馬鹿にしているの? こんな短時間で疲れるほど、私は軟弱じゃないわ」
揚羽は不満そうに僕を睨み付ける。
だが、普段からほとんど引きこもり同然の生活をしている彼女にこの暑さは堪える。そして、それ以上に僕は彼女の精神面が心配なのだ。
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