気づいた時にはもう

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「おはよ、恵(めぐみ)!」 「あ、おはよう江(ごう)。」 江は毎日こうして挨拶してくれる。 俺にだけは他の人には見せないキラキラした笑顔を見せてくれる。 俺のことを1番大切に思ってくれる。 「恵、どうした?熱あんの?元気ねぇぞ!」 ほら、そうやって何も考えずに俺に触れてくる。 こっちがどんな風に思ってるかも知らないから。 「大丈夫。考え事してただけ。」 「そう?なんかあったらすぐ言えよ。俺ら幼馴染なんだからさ!」 「あぁ。」 「おーぅい!ごぉうー!!」 「あっ!竜!おっはー!ほら、恵も行こ。」 「うん。」 幼馴染。 なんて優しくて。 なんて残酷な言葉だろう。 家が隣で物心つく前から一緒にいた江。 人見知りで友達の少ない俺と違ってクラスの人気者の江。 何一つ共通点なんか無い。 俺らが友達を続けられているのは幼馴染だからという理由だけ。 幼馴染じゃなかったら俺があいつのそばにいていい理由なんて存在しない。 それにこんな思いを抱いている俺があいつのそばにいていいはずがない。 それがわかっていてもあいつのそばからは離れられない。 この想いが叶うことなどないと分かっているのに。
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