気づいた時にはもう

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いつからだっただろう。 俺があいつをそういう対象として見るようになったのは。 明確なきっかけがあったわけじゃない。 ただあいつと一緒に生きてきただけだった。 あいつといることが当たり前になって。 あいつがいないことをありえないと思うようになって。 あいつを誰にも取られたくないと思うようになって。 気が付いた時にはもう、あいつのことが頭から離れなくなっていた。 好きだと気づいてしまった。 叶うはずのない想いを抱くようになった。 こんな想い、 「忘れてしまいたい。」 「何を?」 「うあぁ!」 「へへっ!びっくりした?」 「ああ。」 ボッーっともの思いに耽っていた俺は目の前に現れた江の顔に驚いた。 心臓が飛び出るかと思ったほどに。 「何をわすれてしまいたいのさ?」 どうやら俺は忘れたいと声に出してしまったらしい。 「なんでもない。」 「む!俺に隠し事すんなよな!俺と恵の仲だろ!」 お前に言えるわけないだろ! お前のことが好きだなんて! できることなら俺だって。 俺よりでかい図体のくせして頬を膨らませた顔で、俺の肩を叩きながらいうお前にいってやりたい。 言えたら楽になるんだろうか? それでも俺は言えない。 今の関係が壊れるのが怖いから。
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