気づいた時にはもう

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「おっはよー!恵!」 「おはよ。」 今日もまた1日が始まった。 いつもと同じ風景。 いつもと同じ生活。 俺がこの気持ちを隠し通せばいつもみたいにあいつが俺のそばにずっといるんだと信じていた。 この日の放課後までは。 それでもその日の放課後、そんな日々はもう訪れないのだと知った。 「恵!」 放課後、江からいつもみたいに声をかけられ、今日もまた一緒に帰るんだと思い、振り返った。 そこには江とクラスの可愛い女の子がいた。 「恵!俺たち付き合うことになったんだ!だから今日から登下校別な!」 目の前が真っ暗になった気がした。 いつかこんな日が。 江が俺のものじゃなくなる日が来ることはわかっていたはずなのに。 それでも信じたくなかった。 「‥‥‥‥‥‥‥ぐみ!‥‥‥‥‥‥‥恵!」 「あ、ご、ごめん!驚いただけ。おめでと!あ、俺邪魔だな!じゃ、俺帰るわ!」 江の横を通り過ぎ、教室から出る。 教室から出てからは走った。 走って 走って 走って 走って 走って ひたすら走った。 何も考えたくなかったから。 走るのがきつくなった頃、家についた。 誰もいない家について泣いた。 明日から笑っておめでとうを言えるように。 今日は泣いてしまおう。 これからの分。 今日は泣いてしまおう。 この想いを忘れられるように。 ずっとお前を見ていた。 好きだと言いたくて。 ずっとお前を見ていた。 叶わない想いだと知っていても。 それくらい好きだったから。
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