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縁側に、一人の紺の浴衣を着た女性が座っている。
女性の名は太田成美(おおたなるみ)。この家の家主にして、人には見えない物が見えたり、動植物と話せるという特殊な力を持っている。それ故に、人の友達よりも、人には見えない不思議さんの友達の方が多い。
成美は縁側から1本の木が風に揺られてるのを眺めている。横には、湯飲みが2つ。まだ入れたばかりのようで湯気がたっている。
突風が突然吹き荒れ、木々たちが揺れ動き、新緑の葉が数枚地面に落ちる。
成美も思わず、浴衣の裾で顔を隠す。
そして、浴衣の裾から顔を出すと、横には全長10センチ程の鳥が座っていた。羽が薄いブルーの色をしており、お腹の辺りは真っ白で触るとふわふわしていそうである。
「そろそろ、来るころだと思っていましたよ。フー太さん。例年通りですね」
成美は特に驚くことなく、湯呑みを手に取りお茶を一口すすった。
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