木の精霊

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「な、な、なんじゃ。ワシの木に何をする気じゃ!」 突然揺らされたことで、ムーさんは飛び起きた。 「寝ぼけてないで、もう春ですよ。」 成美は小さくため息をつくと、大木を見上げる。 「なんと、もう春か!これはいかん。」 ムーさんはそそくさと木の幹に触れる。そして、何かを送り込む。  「可愛い子よ、もう春じゃよ。起きなさい。」 ムーさんは優しく木に語りかける。 すると、木はその声で起きたかのように葉っぱをどんどん出していき、さっきまで枯れ木のようだったのに、あっという間に緑豊かな大木となった。 それを見たムーさんは、うんうんと頷き見上げる。 「なるちゃんよ、今年もありがとうの。」 「いえいえ、毎年寝坊して何か対策考えた方がいいんじゃないですか?」 「対策ならいらんよ。君がお起こしに来てくれるからね。」 ムーさんは成美の方を向いて笑顔で笑った。 それを見た成美も連れて笑顔になる。 「では、そろそろ私は行きますね。後はお願いします。ちゃんと他のツリーム(木の精霊)と木も起こして下さいよ。」 「任せよ。」 ムーさんは胸の辺りをドンと叩き、自信満々だ。 それを見た、成美は腰を上げると山から降りていった。 数日後、山を見ると木々が生い茂り、濃い緑や薄い緑で山を綺麗に彩っていた。
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