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今日もそうだった。私の周りからは黒い靄が出て、それが塊になり、神様がそれを拾う。
いつも通りのことなのに、それさえも今日は気に入らなくて、私は初めて神様に話しかけた。
「ねえ、毎回毎回、何のつもりなの? その黒い塊は何? あなたは何で、いつもそれを拾っていくの?」
ただ、苛々をぶちまけたいだけだった。自分でもわかるくらいに、刺々しい声だった。
神様はちょうど黒い塊を拾い上げたところで、もう姿を消そうとしていたのかもしれなかった。
けれども、神様は私の声に応えて、私に視線を向けた。
私に自分が見えていることが分かっていたからか、話しかけられても特に驚いた様子はなかった。
「これは、君の心の一部だ」
私は初めて神様の声を聴いた。とても落ち着いた声をしていて、その響きは少しだけ、私の心を穏やかにさせた。
「私の心の一部? それを拾って、どうするの?」
「どうもしない。ただ休ませるだけ」
神様は、声の調子を変えずにそう言った。
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