神様が拾うもの

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 突然、現実に戻ってきたような気がした。  時計の音がやけに大きく聞こえ、時間を確認した。  二十二時十五分。しばらく話をしていたはずなのに、さっき確認した時間から、まだ一分も過ぎていなかった。  握りしめていたティッシュを捨ててテーブルを見ると、ココアからはまだ温かそうな湯気が立っていた。  マグカップを包み込むようにして持つと、手のひらがじんわりと温かくなった。  一口ココアを飲むと、口の中に優しい甘さが広がる。  ついさっきまではただ甘いだけだったココアは、今度は私の心をホッとさせてくれた。  私は一つ小さくため息を吐いた。ココアの甘さという些細なことに、私は久々に幸せを感じた。
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