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やや脚色も加えてみたけれど、護は味噌汁より肉料理が好きだし、ピーマンとレバーは大嫌いで、まったく料理はできないから、これで少しは伝わっただろうか。
「あれ……?彼氏さん、ピーマンの肉詰めとレバニラ炒め……ホントに好きなんですか?」
「うん、ホントだけど……なんで?」
「私が作ったらピーマンとレバーは大嫌いだって言って、一口も食べてくれませんでしたよ?」
「そうなの?それは残念だったね。でも好き嫌いは人それぞれだからね、私の彼氏は両方好きだよ」
私がそう言うと、奥田さんは野菜炒めの人参を箸でつまんだままポカンとしてしまった。
また嘘をついてしまったけれど、これで護が自分のところに来ないのは、私と会っているからではないとわかったはずだ。
「つかぬことをお聞きしますけど……佐野主任の彼氏さんって、歳下ですよね?」
「えっ?違うよ、私より3つ上。だから年齢的にもそろそろ結婚したいって言ってる」
できるだけそれらしく答えると、奥田さんは人参を口に入れて首をかしげた。
「歳上……?じゃあ私の勘違い……?」
奥田さんはおにぎりをかじってまた首をかしげながらぶつぶつと呟く。
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