暗中模索

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暗中模索

一夜明けて金曜日の朝。 いつも通りスマホのアラームで目が覚めるや否やアドレス帳を開き、ゆうべ居酒屋で交換した瀧内くんの連絡先が残っていることを確認して、昨日会社で起こった出来事が夢ではなかったことに落胆した。 二日酔いはしていなくても気分は最悪だったけれど、いつもより30分早く家を出た私は今、会社のそばのカフェで瀧内くんと向かい合ってコーヒーを飲んでいる。 なんだか落ち着かない。 ゆうべ自宅に戻ってすぐに瀧内くんから“明日の朝に改めて話しましょう”とメッセージが届き、このカフェを待ち合わせ場所に指定された。 瀧内くんが言うには「お酒の席での返事はノーカウントみたいなものだから、翌日シラフのときに改めて話す必要がある」だそうだ。 瀧内くんはコーヒーを一口飲んでカップをソーサーの上に置き顔を上げた。 「ゆうべはちゃんと眠れましたか?」 「なかなか寝付けなかったけど、なんとかね」 ゆうべ私が泣いていたことやなかなか眠れなかったのも、瀧内くんにはおそらくバレバレなのだろう。 明らかに化粧ノリの悪い寝不足の顔をしているのは自分でもわかっているけれど、とりあえずはなんともなさそうなふりをした。
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