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「サトル、迎えに来たんだよ。さあ、おいで」
何が迎えに来た、よ! いけしゃあしゃあと!!
補助金目当てで、サトル君を一時的に連れ帰ろうとしているだけのクセに!
サトル君は私が守るんだから!
酷いご両親の元には、絶対に帰さないからねっ!!
「お母さん、お久しぶりです。サトル君の面会はまだ先の筈ですが」
王雅とサトル君の前に、さっと立ちはだかった。「今日はお約束、していませんよね?」
「約束はしてないけどさぁ。母親が子供に会いに来ちゃダメなワケぇ?」
「ダメです。規則ですから。こちらはきちんと責任をもって、サトル君をお預かりしておりますので。勝手に会いに来られては困ると、もう何度もご説明をしています」
「真崎先生、いいじゃないですか、固い事言わないでちょっとくらいさ。あら、ステキな先生が入られたの?」
私の後ろに立つ王雅の姿をジロジロ値踏みするように見て、サトル君のお母さんは言った。「あらまぁ、イイ男ねー。ね、真崎先生、これはマズいんじゃないですかぁー?」
わざと腹の立つ言い方で、お母さんが私にいやらしい目を向けた。
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