スマイル1・王様をビンタで成敗

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   とりあえず三人グループのおじさんの席のヘルプに付かされた。  ヘルプというのは、お客様担当なんかじゃなく、既に仕事のできる先輩ホステスの席に着いて、水割りを作ったり何かしらのサポートをしたり、そのホステスが席を離れる間のお客と会話をするといった、繋ぎ的存在という仕事の様だ。  どのホステスも綺麗で、私とは全然違った。こんな場に不慣れな私は多分、一人浮いていたと思う。  私の隣に座ったおじさんが割といい人で、お酒が飲めないと言うと、フルーツジュースを私の為に頼んでくれた。  メニュー表に値段すら書いていないそのジュースは、一体幾らの値段なのだろう。  知ってしまったら、卒倒するような高い金額に違いない。  フレッシュなフルーツいっぱい使ったジュースだから、美味しかったし。  持って帰って、子供たちにも飲ませてあげたい。  あーあ。今日の担当、こんなおじさんばっかりだったらいいのに。  とりあえず八時から十時の間、二時間頑張るわ。  二時間耐えたら五千円よ。プレゼントのラジコンと、リョウ君のお誕生日ケーキを作る材料と、残りは当面の食費にするの。  五千円の使い道の事ばかり考えていたら、ママから別の席に着くように言われた。
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