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「あっ・・・・あの・・・・初めまして。オウガさん、とおっしゃるのですか? 今日入店したばかりのミューです。どうぞ宜しくお願いします」
仕方ない。五千円の為よ。仕事なんだから、イヤって思わず頑張らなきゃ。
いけすかなさそうな王様男に深々と頭を下げ、お辞儀をした。
「そんな堅苦しい挨拶はいーからさ。飲めよ」
「あっ、あの・・・・でも私、お酒飲めなくて・・・・」
「ハア? 酒が飲めねーだと? 知るか、そんな事。いいから飲めよ」
「は、はい・・・・」
何このエラソーな態度。王雅様とか呼ばれてたわね。
お金持ってるからって、いい気にならないでよね。でも、この男が落とすお金が私の五千円ゲットに繋がるんだから、我慢しなきゃ。
私は仕方なく自分のグラスに少量のブランデーを垂らし、それからごまかす様にしてウーロン茶を大量に入れてウーロン割りを作った。
「貸せよ、そんなチビチビ飲んだって美味くねーよ。ホラ」
無理矢理ボトルを取り上げられ、コップに半分くらいブランデーを入れられた。
ちょっと最悪! 何この男!!
飲めないって言ってんのに、無理矢理飲ませるなんて、サイテーよ。
やっぱりさっきの優しいおじさんの席に帰りたい。
っていうより、施設に帰りたい。子供達に会いたいわ。
ううん、ダメよ! くじけちゃ!!
五千円貰うまでは、帰れないのよっ。
後一時間の辛抱よ。
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