スマイル1・王様をビンタで成敗

13/16
前へ
/814ページ
次へ
  「あっ・・・・あの・・・・初めまして。オウガさん、とおっしゃるのですか? 今日入店したばかりのミューです。どうぞ宜しくお願いします」  仕方ない。五千円の為よ。仕事なんだから、イヤって思わず頑張らなきゃ。  いけすかなさそうな王様男に深々と頭を下げ、お辞儀をした。 「そんな堅苦しい挨拶はいーからさ。飲めよ」 「あっ、あの・・・・でも私、お酒飲めなくて・・・・」 「ハア? 酒が飲めねーだと? 知るか、そんな事。いいから飲めよ」 「は、はい・・・・」  何このエラソーな態度。王雅様とか呼ばれてたわね。  お金持ってるからって、いい気にならないでよね。でも、この男が落とすお金が私の五千円ゲットに繋がるんだから、我慢しなきゃ。  私は仕方なく自分のグラスに少量のブランデーを垂らし、それからごまかす様にしてウーロン茶を大量に入れてウーロン割りを作った。 「貸せよ、そんなチビチビ飲んだって美味くねーよ。ホラ」  無理矢理ボトルを取り上げられ、コップに半分くらいブランデーを入れられた。  ちょっと最悪! 何この男!!  飲めないって言ってんのに、無理矢理飲ませるなんて、サイテーよ。  やっぱりさっきの優しいおじさんの席に帰りたい。  っていうより、施設に帰りたい。子供達に会いたいわ。  ううん、ダメよ! くじけちゃ!!  五千円貰うまでは、帰れないのよっ。  後一時間の辛抱よ。
/814ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2098人が本棚に入れています
本棚に追加