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「おっ・・・・お前――」
バチン!
何するんだよ、と言いかけた男の頬を張り飛ばした。
「女をバカにしないでよね! アンタみたいな男、たとえ一億円積まれたってお断りよ!! 男のクズっ、消えなさい!」
ガン、とデキャンタをテーブルに叩きつけ、私は席を立った。
「すみません、やっぱり私この仕事ムリです。今日で辞めさせて頂きます」
奥の方で呆然としているママに向かってぺこりと一礼して、そのまま店の外に出た。
店の外に出て気が付いた。
私の五千円――――っっ!!
五千円貰い損なったのは、あの男のせいよっ!
でも一時間は働いたから、慌てて着替えを取りに戻って、無料でレンタルしたドレスもちゃんと返して、しっかり一時間分の給料と往復の交通費はゲットした。
こんな目に遭ったのに、タダで帰れないわ。働いた分はキッチリ貰わなきゃ、やってらんない。
ホステスの仕事は全く私に向いてないし、もう金輪際やらないでおこうと思った。
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