スマイル16・王様とキス

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  「お兄さん喜ぶと思う。ガックン、ありがとう」 「はい、任せてください!」  自分のお肉や野菜も取らずに、王雅の分だけ確保したガックンは、少し離れた日よけテントを張った大きめの机の所に走って行った。  王雅、きっとあっちの方で不貞腐れているんだわ。エラソーな王様のクセに、本当に子供みたいな男ね。  とりあえず王雅の事はガックンに任せて、肉や野菜の焼き係に専念した。さっき大量に作っておいたおにぎりも、大分減って来た。次のご飯が炊けたら、またおにぎりも作らなきゃ。ああ、忙しいわ。やっぱり王様の世話をしている場合じゃない。  暫くあれこれ焼いていると、「とあ―っ!」と言いながら、お肉や野菜を争奪しに来た王雅が目についた。  ふふっ。本当に子供ね。この子たちと変わらない。  でも容姿が大人だから、子供たちよりも手が長い分摂取するのが上手いから、持っているお皿にどんどんお肉や野菜が貯まっていく。 「楽しいでしょ?」声を掛けた。 「あ、うん、まあな」  ぶすっと膨れて拗ねていたのに、もう何時もの調子を取り戻していた。ガックンのお陰かしら。
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