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慌てて王雅から離れて、調理場まで走って逃げた。
既に起きて用意を手伝ってくれていたまりなちゃんや江里ちゃんが、息を切らせて走ってきた私を心配してくれたので、大丈夫、と笑っておいた。
激しい動悸は、暫く続いた。
あのセクハラ大王のせいよっ!
きっと、大王のセクハラ菌が私に移っちゃったんだわ! じゃなきゃ、昨日のキスだって私からしちゃうなんて――と考えた所で、再びキスの事を思い出して、余計動悸が上がってしまった。
どうしてあんなことをしてしまったんだろう。
自分でも理解できなかった。
もう、考えるの止めましょう。
まりなちゃんが食器を運んでくれたので、私はお茶やグラスを運ぶことにした。
運んでいると、テーブルの方から話声が聞こえて来た。まりなちゃんと王雅だった。
「ああ。暴力女に叩かれたんだ。ひでーだろ?」
何を話しているのかと思ったら、暴力女って・・・・私の事ね。失礼しちゃう!
「この顔じゃ、もう婿には行けねーぜ。だから、責任取ってもらおうと思ってんだけどな。どう思う?」
「確かに、チョー痛そうなのだ。王雅、カワイソウなのだ」
誰のせいだと思ってんのよ。自分が悪いんでしょ。
ていうより、まりなちゃんに変なコト吹き込まないで欲しい。
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