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あれから紙飛行機飛ばし大会を行って、たっぷり遊んで、観光バスで帰ってきた。
相変わらずの揺れ心地に安心する。身体が庶民体質だから、セレブはやっぱり私の肌に合わないと思い知らされる。
とりあえず王雅と過ごす時間はこれで終わりだから、平常に戻るの。
もう心を乱されたりしないし、いつも通りの私でいられるわ。
大通りで観光バスを降り、みんなで仲良く歩いて路地を曲がった。何時もの景色。変わらない。
私が幼い頃から、何も変わらない大切な場所。
命を懸けて守っていくと決めた、私の宝物。
変わらない佇まいのマサキ施設が目に入った。あら、門の所に誰かいるわ。
「サトル!」
真っ赤なミニのワンピースから大きな胸を露出させ、サトル君の名を呼び、女性が私達の方に近寄ってきた。巻き髪に安物のブランドのバッグを持って、真っ赤な口紅を唇に引いている。彼女は、サトル君のお母さんだ。確か今年で三十五歳になるハズ。
・・・・また来たの。あれだけ約束したのに。
「お母さん・・・・」
サトル君はお母さんを見た途端、怯えて王雅の後ろに隠れた。
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