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「承知しました。マサキ施設では、独身の男性職員は極力雇わないように致します。仮に雇ったとしても、既婚者や、間違いの起こさないと私が判断した方に限定致します。これで問題ありませんね? では、次の面会お約束の日にお越しください。失礼します」
「待って、待ってよっ、真崎先生! 私が困るのよお。助けて、ねっ?」
お母さんが私の腕を掴んだ。「サトルを連れて帰らないと、あの人に――」
「お母さんっ! また同じことを繰り返されるのですかっ! 以前、私と約束しましたよね? もう二度とサトル君を傷つけないって! サトル君を連れて帰るとどうなるか、お母さんだって、お分かりになるでしょう? 貴方達のお金のためなんかに、サトル君は渡せません。たとえ、実の母親にでもですっ!!」
彼女の腕を振りほどき、厳しく一蹴した。
「みんな、びっくりしたね、ゴメンね。さあ、行きましょう」
ぱっと笑顔に切り替え、お母さんを無視して、子供達を施設に入るよう促した。
サトル君は今も怯えて王雅の後ろに隠れ、彼の着用しているジャケットの裾をぎゅっと握りしめている。
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