2109人が本棚に入れています
本棚に追加
「サトル、大丈夫だからな。俺がついてる。怖がらなくていい」
王雅が優しくサトル君に声をかけてくれて、お母さんから守るようにして施設内に連れて入ってくれた。
「サトルの母親と話あるんだったら、俺がガキ共をもう少し面倒みとくから、気にせず話せよ」施設に入り際、耳打ちされた。
「大丈夫、もういいの」
彼女と話す事なんか、何もない。
お母さんのせいで、王雅に帰ってもらうタイミングを失くしてしまった。
まだ帰らなくても、時間大丈夫なのかしら。一応今日は予定を空けてもらうようにお願いしていたけど、迷惑になるような事は避けたいし。
それより、サトル君大丈夫かしら。随分怯えていたものね。優しく声かけてあげよう。
「おい」
私が声をかける前に、王雅がサトル君の肩を叩いた時だった。
「ごめんなさい、ごめんなさい、もうしません!!」
サトル君は小さな体を震わせて、髪をかきむしり、泣き叫びながら暴れ出し始めた。
――これは、パニックを起こしてる!
どうしよう、と思っていたら、王雅が暴れ出したサトル君を、ぎゅっと強く抱きしめて腕の中に包んでくれた。
最初のコメントを投稿しよう!