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「サトル、大丈夫だっ。俺だ、王雅だ。何も怖くねーぞ。大丈夫、お前を苦しめる奴等から、俺が守ってやるから。だから、しっかり俺につかまってろ」
自分をかきむしるつもりのサトル君の小さな手が、王雅の背中に及んだ。強く背中をかきむしられている。でも王雅はおかまいなしに、サトル君を抱きしめたまま、大丈夫だから、と優しくサトル君に声をかけ続けてくれた。
王雅が、必死にサトル君を守ってくれている。
どうして、そこまでしてくれるの?
貴方、私を手に入れる為に、施設に出入りしているだけなんじゃないの?
「サトル、大丈夫だからな。俺がついてる、安心しろ。だから、もう泣くな」
「おに・・・・さん・・・・っ」
「大丈夫。もう怖くねーから。誰もお前を傷つけたりしない。酷い事するヤツは、ここにはいない。美羽先生や俺が、お前を守ってやるから。大丈夫、大丈夫・・・・」
震えるサトル君の背中を優しく撫でてくれた。随分時間が経ったけど、サトル君は次第に落ち着いてきた。
サトル君がパニックを起こしてしまったら、あんな風にすぐ落ち着くことは無かったのに。
優しい王雅の心が、サトル君を助けてくれたのね。
正直、私一人じゃこんな風に収める事は出来なかっただろうな。
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