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マサキ施設の子供たちは、私の教えを守って誰にでも優しく、分け隔てなく接してくれる。
今みたいなことがあっても、誰もサトル君を仲間外れにしたり、怖がったりしない。
それは、みんな形は違えど、傷を持っているから。辛い過去があるから。
私もそう。だから、肩を寄せ合って生きていける。
サトル君はみんなに任せて、このままそっとしておくのがいいわ。
それより王雅とキチンと話さなきゃ。背中も心配だわ。薄手のジャケットを着用してるとはいえ、かなり強い力だったから、傷が残ったりしないかしら。
応接室で話す事にしてそこに向かった。
「王雅、さっき貴方の背中、サトル君がかきむしっちゃったでしょ。大丈夫? ごめんね。手当するわ」
「問題ない。大した怪我もしてねえと思うから、大丈夫だ、気にすんな。それより、話って?」
「うん、ごめんね。王雅の背中が傷ついてて、もし酷くなったらいけないから、手当しようと思ったんだけど」
「だから、気にすんなって」
「わかった、ありがとう。もう気にしないわ。あの・・・・サトル君ね、王雅の事、本当に信頼していて、大好きなお兄さんだ、っていつも言うのよ。この前も桃園に連れて行ってくれた時、ハチから助けてくれたでしょ? 今回お泊り保育に王雅の事を誘いたいって言いだしたのも、サトル君なの。まあ、サトル君だけじゃないけどね。ガックンやリョウ君――ううん、みんな王雅の事が大好きだし・・・・だから、今回迷惑かけちゃって本当に申し訳無いけど、また、ここに来て欲しいの。あの子たち、貴方が来るのとても楽しみにしてるの。だから・・・・」
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