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言葉に詰まった。
きっと王雅、今ので施設が嫌になってしまったと思う。
こんな面倒な所にもう二度と来るかって、思ってしまったんじゃないかって。
相容れられない、一般の人には理解してもらい難いとは思う、異なった世界。
でも、私達にとってこれは普通なの。
貴方に理解はしてもらえないと思うけど。
それに私、今、すごくズルい言い方した。
子供たちがみんな王雅が好きだって伝えて、少しでも彼の良心に訴えて、施設に来ないでおこうと思うその気持ちを、引き留めようとしたりして。
本当に、ズルい。
「もう来るな、って言われんのかと思った」
「えっ・・・・?」
王雅の思いがけないセリフに、思わず聞き返した。
「俺、今まで最低だったなって思って。お前が大切にしてたモン、最初は取り上げようとしてただろ。施設の立ち退き要請に来たんだぜ? 成り行きとはいえ、お前の事情なんて知らなかったしな。でも、昨日一緒にガキ共と過ごしてスゲー楽しかったし、泊りにも誘ってくれて嬉しかったんだ。それで、解った。お前にとってマサキ施設が、ガキ共が、本当に大切なモンだってな。解ってたつもりだったんだけど、それ以上だった。だから・・・・今まで悪かったな、と思って。ごめん」
悪かったな、ごめん、って何それ。
貴方、今のサトル君の事、微塵も気にしてないなんて――・・・・
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