2101人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんな事気にしてたの?」こちらの気持ちを悟られないように笑った。「施設の立ち退き話なんて、いつの話よ。前はそうだったかもしれないけど、今は違うじゃない。誰も気にしてないわよ。私も忘れてたくらいだもん。つまらない事、いつまでも気にしなくても大丈夫だから。ねっ?」
――良かった。貴方に、この施設が面倒だって思われたりしていなくて。
オーナーだからとかじゃなくて。
あの子たちの事、面倒だって思って欲しくなくて。
もう、会いに来てくれなくなってしまうんじゃないかって思ったら、怖くなった。
私ったら、何を思っているの。
お泊り保育での王雅との生活が楽しかったから、彼にもっと私達の事を解って欲しいって思っているなんて。
そんな事思っちゃダメなのに。
王雅は、何時かこんな貧乏施設に見向きもしなくなるわ。
今は、珍しいから。貴方の世界には無い場所だから、私を手に入れる為に、寄り添っているフリをしているだけだって。深入りしちゃダメだって、解っているのに。
でも、言わずにはいられない。貴方に、もっと私達の事を解って欲しいから。
最初のコメントを投稿しよう!