スマイル18・王様子供を守る

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  「それよりね、王雅。サトル君の事なんだけど、最初ココに来た時は、さっきみたいに酷いパニックを起こす事が多くて、夜も寝られない事が多かったのよ。でも、サトル君頑張ったの。すっごく頑張って、やっと立ち直ったところなの。ようやく沢山、笑ってくれるようになったわ。でもね、忘れたわけじゃないの。お母さんを見て、きっと、辛い事を思い出しちゃったのよ。あの人――サトル君のお母さんね、子供の為の手当てが支給される近辺になったら、サトル君を連れて帰って手当のお金貰おうとして、さっきみたいに勝手に施設に来ちゃうの。もう、前からよ」 「手当って? 幾ら出るんだよ。そんな貰えるもんなのか?」 「手当っていうのは、子供の為に国から貰えるお金よ。確か・・・・四か月に一回、数万円かな。まあ、生活も苦しいだろうから、欲しいのは解るけど」  数万円と聞いて、王雅は酷く驚いた顔を見せた。  貴方みたいなお金持ちからしたら、驚く程安い金額なんでしょうね。  でも、庶民は違うの。たとえ子供を犠牲にしてでも、必要なお金なのよ。まあ、それは私にも理解できないけれど。
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