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まあ、考えていても仕方ないか。アドバイス通り、されたら言う、で納得してもらうしかないわ。
「せんせーい」
お昼ご飯の準備をしようとキッチンであれこれ動き回っていた私の所へ、サトル君がやって来た。
「ん、サトル君、どうしたの?」
「広場で遊ぼうと思って外に出たら、なんかねー、門の外から男の人の声が聞こえたんだ。お客様かなー、と思って」
「あら、そう? 呼び鈴鳴らなかったわよね。解った、見に行くわ」
「僕も行くー」
「じゃあ、一緒に行きましょう」
サトル君と一緒に門の所まで向かったけれど、誰もいなかった。門を開けて外に出て、周辺を見回しても、やっぱり誰もいない。
でも、三日程前から感じていた、不思議な視線と言うか、見張られているというか、そういう雰囲気は無くなっていた。
「誰もいないわね」
「ホントだー。さっき男の人の声みたいなのが聞こえて来たと思ったんだけどなぁー」
「そうなの? うーん・・・・でも誰もいないわね。どこかへ行っちゃったのかな? 用事があったらまた施設に来ると思うし、このまま門は開けておくわ。どうする、外で遊ぶ?」
「うん。遊ぶー」
「門の外には出ちゃダメよ? 勝手に外に出たらダメだからね。もし誰か来たら、また知らせてくれるかな?」
「わかったー」
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