2109人が本棚に入れています
本棚に追加
まあ丁度いいから、店での源氏名も美幸にして、ミューちゃんと呼んでもらう事にした。
慣れてないから別の名前で呼ばれても、うっかり忘れてしまうだろうしね。
私は本名が美羽だから、子供達にミュー先生とか、他の人にもミューちゃんって呼ばれることが多いから。
私は、わざと野暮ったいメイクと巻き髪で店に出る事にした。
店に化粧道具や髪を巻く用具等が、利用できるように置いてあって助かった。何も持ってきて無いし、とりあえず適当に借りて、入店時間までに腰より上くらいのストレートの地毛をまとめて巻いて、自分でちゃっちゃと仕上げた。
ダサい方が男受けもしないから、これでいいや。
どーせ今日で辞めるし。
気合入れて綺麗にしてお客に気に入られて、万が一でも店に残らないか、とか引き留められても困るもんね。
店から辞めてくれって言われる方がいいわ。ダサい女なんて、こんな高級なクラブには必要ないでしょ。
さあ、五千円よ、五千円!
一万円貰えるならもっと有難いけど、時間的にちょっと難しいから五千円。
高望みしちゃいけないわ。
五千円の為に、私は愛想を振りまく事にした。
最初のコメントを投稿しよう!