+01.天才と天災。

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+01.天才と天災。

夢を努々、侮っては成らぬ。 夢は距離も時間も超えるモノ。 総てはその想いの重さ。 『まだ起きねぇのか、主人(あるじ)』 「…クロ…。」 目を開けたばかりの僕に、満面の笑みで覆い被さっているのは、僕が幼い頃、弱って居たのを拾って怪我を治して以来、懐いて離れない黒狐のクロだ。 『今日も起きるまで起こさなかった。褒美に撫でてくれ』 取り敢えず僕がクロと呼んでるだけで、別の真名(しんみょう)が在り、それを暴いたら、本来の能力(ちから)を制限無しで使えるのだろう。 「…また結界壊した…。」 『危険な依頼から、主人(あるじ)守護(まも)る為だ』 今のこの子に出来るのは、凡ゆるモノに化ける事、簡単な結界を壊す事、低俗な形を保てぬモノなら壊す事。 完全に人間に化ける気が無いので、耳と尻尾を出したままにしている。 真名(しんみょう)を暴き、使役したら、それ以上の事もさせられるだろうが、させる気には成らない。 『俺は主人(あるじ)所有物(モノ)だからな』 それが主従関係の良い所だ。 『御早う御座います、主人(あるじ)。入っても宜しいでしょうか?』 障子に薄っすらと、三つ指をついて朝の挨拶をする、人間に化けた狐の影が映る。     
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