+01.天才と天災。

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着崩れた寝間着である浴衣の襟を正し、のろのろとクロに渡された羽織を着た。 『先程見掛けた時、久遠(くをん)様は境内にて、一ツ目の小鬼と(たわむ)れておられました。食糧問題の代償に、(しゅ)の保存の為に情報提供をと。後10分程で片付くかと』 その後ろで、ギンが布団を畳みながら、応えた。 「怨鬼(えんき)兄様は?」 『怨鬼(えんき)様は何時(いつ)も通りの時刻に起床されて、何時(いつ)も通りの朝の支度をされ、何時(いつ)も通り、御務めを始められております』 怨鬼(えんき)兄様は、何時(いつ)も通りらしい。 「そう。母様は?」 『(こう)様も何時も通りの時刻に起床されて、何時も通りの朝の支度をされてました。あ、(なつめ)様がいらっしゃると仰っていました』 「そう。」 母様は、何時(いつ)も通りだったが、希子(きこ)小母(おば)様に逢うらしい。 逢いたいけど、それまでに全部終わると良いな。 『主人(あるじ)、終わりましたよ』 「じゃあ、朝ご飯だね。」 襖を開け、廊下を歩けば、雇用関係に有る九十九神(つくもがみ)達が自分達が消えない様に、仕事を始めていた。 「おはよう。」 『おはようございます、姫様』 『朝餉は若布と豆腐の御御御付(おみおつ)けに、碓氷(うすい)様に頂いた荒巻鮭ですよ』     
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