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思えば、あの日も雨だった。
「た~いが!」
俺の幼馴染、優香の挨拶はいつもテンションが高い。俺はそんな挨拶が好きだ。毎日この挨拶に元気をもらってると言っても過言じゃないだろう。
「ああ、おはよう」
それでも俺は、同じようには返せない。こっちを真っ直ぐ見てニカッと笑う優香の顔がまぶしすぎて直視できないからだろうなきっと。いや違う、わかってるんだ、俺の気持ちは。でもあいつはそうは思ってない。俺を男としてじゃなくて、幼馴染として見てる。だってほら、今もこんなにもベタベタとつくっついて来るんだから。
「ねぇたいが!次の日曜日花火大会があるらしいんだけど…一緒に行かない?」
こいつが俺を花火大会に?ああ、奢ってもらいたいのかな
「ああ、いいぜ、けど俺は奢らないぞ」
俺がそう言うと、優香はぷっくりと頬を膨らませて怒ったような表情をした。可愛い。けど、やっぱりそういう目的なんだと思うと悲しくなる。
「奢ってほしいからじゃないよ!た…たいがと行きたいから、、だから誘ってるの!」
優香はそうまくし立てると教室に走って言ってしまった。
そのあとはなんだかずっと機嫌が悪くて、下校時間まで口も聞いてくれなかった。このま
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