天帝さまが舞い降りた。

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胸もドキドキしてきた~。 長いことお寺の掃除をしているけど、こういった事は初めてだった。 その後、本堂内では何もなく掃除を終わらせた。 ほうきを持って参道へ出ると、清々しい早朝の風がなびいてくる。 気持ちいい・・・ 思わず目を閉じた。その時、“ふわっ”と何かが、頬を掠めた。 その感触に目を開けると、銀色の糸の束のようなものが見えた。 その先を目で追うと・・・『人!?』 銀色の長い髪をした人の後ろ姿・・・ぇえーーーっ!?象に乗っかってる!!?? いわゆる動物園にいるインド象だ!! こんな所で人が象に乗っている!! 私の目がおかしくなってる?? 目をこすってみたけど、やはり“それ”は見える。 「あ、あのっ」 無視できない状況に思わず声をかけた。 すると象に乗った“その人”が振り返った。 白い肌に細身の輪郭、切れ長の目、薄い唇に長い銀髪。その美貌に思わず数秒、見惚れてしまった。 「はい?」 声のトーンからして男の人だ・・・。 「ぞ、象に乗ってますね」 「私のペットです」 その瞬間、象が体を反り上げ、その人が転げ落ちそうになった。 「あぁ、ごめん、ごめん。怒らないでくれ。おまえは相棒だ」     
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