天帝さまが舞い降りた。

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「やはり、私がすべての人に見えるわけではないようですね」 「はい、そうみたいです」 「おっと、私は忘れ物を探しに来たのだ。探しに行かなくては!」 「何をお忘れですか?」 「金剛杵(こんごうしょ)です。私は時折、人間界に降りて見回りするのですが、その時に金剛杵を置いてきてしまったらしいのです」 「では、私も一緒に探します!」 学校へ行く時間までもう少し時間あるし、なにより帝釈天様が困っている。 「そうですか・・・ではご一緒に探していただけますか」 私と帝釈天はお寺を出て、パトロールした近辺を探した。 しかし、このインド象に美男子が乗って住宅街を歩いている絵ずらが・・・ふっと笑ってしまう。 「帝釈天さまも人間界を見回りするんですね」 「私も元は人間です。人間界の事は気になるし、釈迦様より命ぜられているのです。人間界というのは色々な欲や人間同士の比較、妬みなどがありますね。そのせいで愚行が起こり、要らぬことも巻き起こす。本来はもっと生きやすい世界のはずなのですが・・。私が出来ることは善良な行いをしている者に対しては温かく見守る。そんな大それたことではないですが。貴女の事はずっと前から見ていますよ」 「・・・そうなんですか?」     
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