第四話 自覚と無自覚

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第四話 自覚と無自覚

1 ウルバノ・壁門(三話から日数経過)   賑やかな都市。   桜達、街へ入っていく。 桜「ようやくここまで来たか!」   オンラード、人目を避けるように、マントのフードを目深に被る。 ユキカ「ここウルバノは、この近辺では首都に次ぐ規模の大都市ですわ。交易がとても盛んで、商人、職人共に一流の者達が揃っております」 桜「そうなのか! それはさぞ見ごたえがあるだろうな」   桜、キョロキョロ辺りを見回す。   忙しなく行き交う人々。 桜「はぁぁ~……(感嘆)」   桜、目を輝かせ左右にフラフラ。 ユキカ「姫君、あまりお一人で行動なさりませんように」 桜「(ビクリ)あはは、分かっている」   桜、視線がちらちら周りに移る。 ユキカ「(笑顔)ふふふ、城館へ出向く前に、少し街を見て回りましょうか」 桜「……いいのか?」 ユキカ「ええ、姫君にこの国の魅力をお伝えするのも、私の役目の一つですから」   ユキカ、オンラードを見る。 ユキカ「よろしいですわよね?」   オンラードと景義、桜から離れた場所で様子を見ている。   オンラード、目を逸らす。 オンラード「……姫君のお好きなように」 ユキカ「(微笑み)だそうですわ」   桜、頬を紅潮させ満面の笑み。 桜「ファス……!」   オンラード、桜を避けてユキカに近寄る。 オンラード「おい」   桜、バッと勢いよく振り返る。 ユキカ「あらあら、なにか御用?」   オンラード、何かユキカに話している。 桜「……(寂しそうにオンラードを見る)」   桜、胸の前でギュッと手を握る。   景義、辛そうに桜を見る。
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