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12 アマーレの村(夜)
女達、男たちと抱き合い喜び合う。
アマーレと父、桜に頭を下げる。
アマーレ「ありがとうございます!」
アマーレ父「本当に、あなた方のおかげです」
桜「そんな、礼なら景義とファスマに言ってくれ。でもみんな無事で本当によかった」
桜、嬉しそうな笑顔。
景義、盗賊の拠点の方を見つめる。
桜(ミギ)「(景義に近づき)……ファスマ、遅いな」
景義(ミギ)「! 姫様(桜を見る)」
桜、表情が曇る。
桜(ミギ)「あのファスマが盗賊に負けるとは思えないが……。何かあったのだろうか」
桜、拠点に向かい走る。
桜(ミギ)「少し様子を……」
景義(ミギ)「姫様!」
景義、桜の手を掴む。
景義(ミギ)「夜の森は危険です。姫様を行かせるわけにはまいりません!」
桜(ミギ)「様子見だけだ。危険など……」
景義(ミギ)「私が行きます!」
桜、振り返り景義を見る。
景義、強い眼で桜を見つめている。
桜(ミギ)「…………ああ、頼む」
景義(ミギ)「はい」
景義、拠点へ向け走る。
12 森・拠点付近(夜)
景義、ランタン片手に辺りを見回しながら走る。
景義「ファスマ殿! ファスマ殿―!」
森の奥、ぼうっと灯り。
景義「ア……」
景義、灯りに向かい走る。
※ ※ ※
景義、茂みを抜ける。
景義「ファスマ殿!」
景義、目を見開く。
オンラード、剣を持ち後ろを向いている。
周りは盗賊の死体と血だまり。
景義「(真っ青)ファスマ、殿?」
オンラード、ゆっくり振り返る。
オンラード「(無表情)人質は?」
景義「……(ハッとする)ア、逃ガシタ」
オンラード「そうですか」
オンラード、村の方へ歩く。
景義「待ッ……!」
景義、オンラードに立ちふさがる。
オンラード「……何か?」
景義「ファスマ殿、姫様、願イ」
オンラード「ああ、この通りです」
オンラード、手を広げる。
景義、オンラードをキツく睨む。
景義「姫様、アナタ、本気デ……!」
景義、俯きオンラードに背を向ける。
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