第三話 桜の願い

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12 アマーレの村(夜)   女達、男たちと抱き合い喜び合う。   アマーレと父、桜に頭を下げる。 アマーレ「ありがとうございます!」 アマーレ父「本当に、あなた方のおかげです」 桜「そんな、礼なら景義とファスマに言ってくれ。でもみんな無事で本当によかった」   桜、嬉しそうな笑顔。   景義、盗賊の拠点の方を見つめる。 桜(ミギ)「(景義に近づき)……ファスマ、遅いな」 景義(ミギ)「! 姫様(桜を見る)」   桜、表情が曇る。 桜(ミギ)「あのファスマが盗賊に負けるとは思えないが……。何かあったのだろうか」   桜、拠点に向かい走る。 桜(ミギ)「少し様子を……」 景義(ミギ)「姫様!」   景義、桜の手を掴む。 景義(ミギ)「夜の森は危険です。姫様を行かせるわけにはまいりません!」 桜(ミギ)「様子見だけだ。危険など……」 景義(ミギ)「私が行きます!」   桜、振り返り景義を見る。   景義、強い眼で桜を見つめている。 桜(ミギ)「…………ああ、頼む」 景義(ミギ)「はい」   景義、拠点へ向け走る。 12 森・拠点付近(夜)   景義、ランタン片手に辺りを見回しながら走る。 景義「ファスマ殿! ファスマ殿―!」   森の奥、ぼうっと灯り。 景義「ア……」   景義、灯りに向かい走る。     ※   ※   ※   景義、茂みを抜ける。 景義「ファスマ殿!」   景義、目を見開く。   オンラード、剣を持ち後ろを向いている。   周りは盗賊の死体と血だまり。 景義「(真っ青)ファスマ、殿?」   オンラード、ゆっくり振り返る。 オンラード「(無表情)人質は?」 景義「……(ハッとする)ア、逃ガシタ」 オンラード「そうですか」   オンラード、村の方へ歩く。 景義「待ッ……!」   景義、オンラードに立ちふさがる。 オンラード「……何か?」 景義「ファスマ殿、姫様、願イ」 オンラード「ああ、この通りです」   オンラード、手を広げる。   景義、オンラードをキツく睨む。 景義「姫様、アナタ、本気デ……!」   景義、俯きオンラードに背を向ける。
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