第三話 桜の願い

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景義「一度、体、洗ウ。ソレデ、帰ル。姫様、コノコト、言ワナイ、秘密」   景義、走り去る。   オンラード、動かない。 13 アマーレ宅・女部屋(時間経過)   桜とユキカ、ベッドで寝ている。   アマーレ、床に布を敷いて眠っている。   桜、不安そうに、じっと女部屋の半開きのドアを見つめている。   キィッと玄関のドアが開く音。   女部屋の前、灯りが通り過ぎる。 桜「……ファスマ?」   桜、起き上がり部屋を出る。     ※   ※   ※   リビング・桜視点。   桜、ゆっくり様子を窺う。   オンラード、鎧を脱ぎ、桜に背を向ける形で体を拭いている。 桜「(嬉しそうに)ファス……」   桜、オンラードの肩甲骨付近にある焼印に気づく。   国の紋章を模ったケロイドが、蝋燭の火に照らされ醜く照り光る。 桜「……や、けど?」     ※   ※   ※   リビング・オンラード視点。   オンラード、ハッとして後ろを振り返る。 オンラード「(警戒しつつ)誰だ?」   桜、物陰から出てくる。 桜「(笑顔)おかえり、遅かったな」 オンラード「……お一人ですか」 桜「ああ、物音がしたので、お前が帰ったのではないかと思ってな」 オンラード「……そうですか」   オンラードと桜、見つめあう。 オンラード「……服を、着ても?」 桜「え? ああ、構わん。好きにしろ」   オンラード、背中を見せないように服を着る。 桜「(オンラード見て)……よかった」   オンラード、ピクリと反応し桜を見る。 桜「お前が無事私の所に帰ってきてくれて、本当によかった」 オンラード「……」   オンラード、苛立たしげに桜を睨む 桜「さて、オンラードの顔も見られたし、私はまた眠ると……」 オンラード「聞かないんですか?」
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