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玄関。
オンラード、踵を返し、外へ歩く。
オンラード「一国の姫君が何を考えてるんだ。私はどこか別の場所で休みます」
桜「あ、待てファス……」
桜、躓いて倒れる。
オンラード「っ!(慌てて受け止める)」
桜「(笑顔)ふう、またやってしまった。すまないファスマ。ありがとう」
オンラード、なにか言いたそうに桜を見つめる。
桜、じっと見つめ返す。
桜「……私が危ない時、お前は必ず駆けつけて、こうして助けてくれるな」
桜、オンラードの頬に手を伸ばす。
オンラード「!?(桜から離れる)」
桜「(悲しい笑顔)そんなに、私が信じられないか?」
オンラード「……(睨むように桜を見る)」
桜「……私は、お前と出会ったばかりで、どうしてそこまで人を信じることを拒むのか、その理由は分からない。だから、無理に誰かを信じろとは言わない。だが……」
オンラード「……?(眉を寄せる)」
桜「もしお前さえよければ、私の事だけでも、信じてみないか?」
オンラード「(目を見開き)は……!?」
桜「もし私を信じてくれるなら、私がお前の分も、全て信じてやる」
桜、オンラードに笑顔。
桜「お前も、他の何もかも、代わりに私が全て信じる。だから、私の事を信じてくれ」
オンラード「代わり? なんのことだ。あんたを介したからって、何も変わらない」
桜「そんなことはない。私を介しておけば、もし約束を違えられた時、お前は私を見限って何食わぬ顔ができるだろ?」
オンラード「……な」
桜「お前が責任を負う必要はない。なにかあれば、全て私が背負う。そしてもし報われて利が生まれたら、それは必ず一緒に分け合うと誓おう」
オンラード「……そんなことして、いったい何になると言うんです。そうやって誰かを安易に信じても、自分が傷つくだけだとなぜ分からない!?」
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