第四話 自覚と無自覚

2/13
前へ
/55ページ
次へ
2 アマーレ宅・玄関(景義の過去回想)   廊下の奥、暗がり。   景義、俯き、顔がよく見えない。 オンラード(声)「こんな俺ごときに、どうしてあなたはそこまで……」   景義、血が滲むほど拳を握る。 景義「(悔しそうに)……姫様」 桜(声)「あ、ファスマ!」   景義、ピクリと反応し、顔を上げて二人を窺う。     ※   ※   ※   玄関。   オンラード、外を走っている。   桜、追いかけて外に出るが立ち止り、悲しげにオンラードの後ろ姿を見つめる。     ※   ※   ※   廊下の奥。   景義、バッと顔を背け壁に背を預ける。 景義「……っ!(泣きそうな顔)」 3 ウルバノ・街中(現在)   景義、俯いて暗い顔。 桜(声)「……義、景義! 景義?」 景義「(ハッとする)エ!」   桜、景義の顔を覗きこんでいる。 桜「どうした? 大丈夫か?」 景義「(真っ赤)……ヘ、ヘアアァァ!」 桜「ひゃあ!」   桜と景義、驚き、飛びあがる。 桜「な、なんだ。どうした?」   景義、ぶんぶん首を横に振る。  桜「だ、大丈夫、なのか?」   景義、ぶんぶん首を縦に振る。 桜「そうか。それならいいが、決して無理はするな。お前はいつも無茶するから」   桜、心配そうに景義を見つめる。 景義(ミギ)「(真っ赤)……あ、の……」   景義、幸せそうな笑顔。 景義(ミギ)「はい。ありがとうございます」 オンラード「(無表情)……」   オンラード、じっと桜を見ている。   桜、チラリとオンラードを見る。   オンラード、ふいと視線を逸らす。   桜、苦しそうに胸を押さえる。 桜「なんだ? この感覚は……?」   景義、辛そうに顔を引きつらせながら、桜をじっと見つめる。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加