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でもさすがにサイズも随分変わっているし、立たせて着せるのも難しいので、車椅子のままで脱ぎ着ができるようにしてもらいたいんです。
***
「承知いたしました」
私は微笑んでいました。
「素敵なお話をありがとうございます。精魂込めてお仕事をさせていただきます」
それからおばあさまの採寸をさせていただきました、勿論車椅子に座ってのサイズです。
時折にこやかに公輔様を見上げるおばあさまの、嬉しそうでも恥ずかしそうでもあるかんばせが、私の気持ちも高揚させます。
公輔様もとてもお優しい方なのでしょう。おばあさまと目が合うとにこりと微笑まれるのです。
柏木様とお話している間も、ずっとおばあさまのそばにおられました、一緒に結婚式をしようなどと言うお気持ちは、その場限りのお言葉でなかったと判ります。
きっと柏木様のお気持ちも理解されているのでしょう。
親代わりに育ててくれた恩やご病気になられて心配しつつもお世話ができなかった事、そんな柏木様のお気持ちごと結婚なさろうと言うのでしょう。
仮縫いを二週間で終え、試着のため来ていただきました。
少し黄色味がかってしまった純白のドレスを身に纏います。
背面を全て開き、肩甲骨の辺りだけ面テープで止めるようにしました。
座った時にちょうど良い丈になるようスカートも直しました、背面は切り取って、膝に掛ければいいように仕立てました。
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