高校二年夏

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「いいよ、行こうぜ」と言ってみたものの女の子のだれかが拒否してくれないかと期待 していたのだが  「まじ。面白そう。」武の同じ高校の優奈が答えたのをきっかけに  「あたしいいとこ知ってるよ」と同じく美咲が賛同した。  と各々が乗り気であったたため淡い期待はさっさと崩れ去り雄二と武が早くも行き先の候補を上げていた。そのなかで一番おとなしい麻美だけが  「あまり悪ふざけしないほうがいいと思うんだけど。」と多少否定的な意見を言ったが皆に押し切られる形で参加とあいなった。  家が近所の麻美と優奈は俺と武士のタンデムシートに乗せることになり(本当は免許取って一年は二人乗り禁止なのだがまだ無鉄砲な高校生は何も気にすることなく二人乗りをしていた)原付で来ていた美咲と雄二は各自運転で現地に向かうことへ。飲酒運転もまったく気にしてない。なんて高校生だ。  時間は夜の十一時を回ったところだが夏の夜明けは早い。地元有名な心霊スポットが何箇所か候補に上がったが片道に一時間以上かかる場所はやめ近場で有名な廃病院に行くことにしたのだが着いてみるとあからさまに  「うわぁ先客ありだ」  と先に着いた武士と優奈がつぶやいていた。誰も考えることは一緒なのかもしれないが誰かが先に探索してるだけで興ざめなのに 停まっていたのは  「これ族車だよ」 「ここに乗り込んだら別の意味での恐怖体験になっちゃうね」と優奈が言ったところで、このまま今日は解散になるかもと思っていたのだが美咲が 「クラスの友達から聞いたんだけどH山の山道を登ったところに大きな洋館が建ってるんだって。ずっと空家みたいだけど出るってうわさがあるみたいだよ。」 『出る』って言葉にアクセントを置き提案した。すでにテンションがあがり、夜このままお開きやカラオケに変更する気分にはならない一団は美咲の提案をすんなり受け入れ、 「H山だったらこっから近いし行こうぜ」と武が言い出すと全員が賛同した。
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