高校二年夏

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ありふれた怪談だが懐中電灯の灯りしかない山道で聞くと暗闇と孤独というスパイスが加わり3割り増しくらいに怖い。 今回の洋館の提案者の美咲がクラスで聞いたという噂話をはじめた。  「今から行く家っていつできたか誰も知らないんだって。なんか戦後にはもうあったって話だよ。でねでね、このへんて古い町でしょ。地主さんとかがその昔、遺産相続のとき分割する相手が減るように、親戚を増やさないように近親婚を繰りかえしていたんだって。そうなると遺伝病や障害を持つ人が生まれる確立があがるらしいんだ。昔はそういう人は隠されて育てられて人目に付かないようにされたんだって。ここはそういう場所らしいよ。まだそもそも住民が少ない時代で回り中親戚だらけなのに世間から隠されて育てられ、その存在自体を否定された人たちが暮らしていた家なんだって。」  「じゃあその昔の地主達がその家を建てたっていうのか。」との雄二の問いには  「それはわからないよ。うわさだもん」  「ここかわからないけど、古い洋館の話は聞いたことあるけど有名な画家が終の棲家として住んだって。偏屈な人だったらしく奥さんと子供に逃げられて、で人間不信になってその家にこもってずっと創作活動をしていたって。末期の作品は画風も代わりあまり評価されなくなっていつの間にか忘れ去られて失意のまま死んでいったって話。」 優奈が続けた。 「なんて画家?」 「知らない。そのときは興味もなかったしいつ誰から聞いたかも良く覚えてないよ。今から行くとこかどうかもわからないし。」 「昔結核の人が療養してた場所がH山にあったって話し聞いたことあるよ。」 「サナトリウムね」 「そうそう、それ。でも今でてきたみっつのどれかがビンゴでも怖いね。」 「結構H山っていわく付なんだ。昔は城があって攻めほろされて今でも甲冑身に着けた武者とか十二単のお姫様とか出たりしないの?」と俺が聞くと
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