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「それ時代バラバラだよ。お城があったて話は聞いたことないけど町自体が古いから昔 になにかあったかもしれない。図書館とか行けばわかるかもよ。」
と麻美に言われたがそんなに勉強熱心ではなく好奇心旺盛でもない。山道を一〇分くらい進んだとき、
「ねえ、あれじゃない洋館って」美咲が指差した方角に想像していたよりも大きな舘が見えた。大正時代を舞台にしたドラマに出てきそうなかなり立派な家で正確にいつ出来たものかわからないが結構前に作られたというのは本当のようである。建物の周りに塀はなく庭らしく土が見える場所があり建屋がたっているので厳密な意味での敷地の境界線はわからないが真夏に草が生えていないところみると誰かが管理しているようで空き家独特の薄汚れた感じはしない。とりあえず玄関にまわってみるが鍵がかかっている。もっと廃墟を想像していたので簡単に入れると思っていた。武士と雄二が鍵の開いている窓やドアを探して屋敷の周りを一周したがどれも施錠されていて中には入れなかった。ここまで来たけれど引き返すかと内心少しほっとしていると、女子三人は優奈と美咲が物足りなそうで麻美は少し安心したようでもあった。
ガシャン。
ガラスの割れる音がしたほうをみると武士と雄二が窓を割り鍵を開け屋敷の中に進入していったの見たときそこまでやるかと感じていた。高校生はまだ無謀なことが英雄になれる時期でもあるし、女子の前でアウトローを気取りたかったのかもしれない。そういえば武士の家を出る前にビールとか酎ハイなんかを飲んで飲酒運転だったので今頃酔いがまわってきたのかもしれないが誰かが管理しているだろう家を壊すのはいたたまれなかったがここで何か言っても野暮なだけなので黙っていた。
武士たちが玄関を開け全員で中に入ると内部も予想以上に掃除が行き届いている。空き家ではなくもしかして別荘なのではと思ってしまうほどだ。電気のスイッチがあるが案の定灯りがともることは無く手元の懐中電灯だけが頼りだ。
「二人ずつペアになって探検しようぜ、来るときのバイクの組でいいだろ。」雄二が言い出した。
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