高校二年夏

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ざっと見てみても二階だけで扉が6つある。物置やクローゼットの類かもしれないけどかなりの広さと部屋数だ。3LDKのうちとは大違いである。まずは手前の部屋を開けてみたところ中に別途とクローゼット、机がありビジネスホテルの客室を豪華にした様相だ。  麻美とともに中に入るとベッドをみて「ひっ。」と短く悲鳴を上げた。  「びっくりするじゃんか。」  「だってこのベット、よくみて。」  特段変わったところはないように見える。価格の違いこそあれ自分ベッドだってこんなもんだと思う。  「なにか変なとこあるの。」  「掛け布団がめくれてる。そもそも人もいないのに掛け布団までしいておくの?それに前に使ってた人が布団からでてそのまま帰ってこなかったってこと?他はちゃんと掃除してあるのにベッドメイクだけしないってなにか変じゃない。」  そう言われてみればそうだ。めくれたベッドを確認しようと思ってマットレスの部分を触ってみると。  「あったかい」  「やだ、気持ち悪いこと言わないで。お約束とかいらないから。」  「本当だって、触ってみなよ。」  干した布団の温かみとかではなく人の体温が移った温度を確かにベッドから感じた。そんなことありえるはずは無いのに、もし人がいるとしたら電気も通電していない場所でくらしているということになる。  「それこそ嫌、それよりこの部屋なんか変じゃない。見てカレンダーの日付」 1972年の8月 40年以上前のカレンダーがかかっている。それから使っていないってことなのか。それにしては違和感がある。  「おかしいよね。こんな昔のカレンダーなのに色あせていないって。懐中電灯の光ってことを割り引いてもそんな何年も経ってるカレンダーに見えないし。」
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