高校二年夏

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麻美はそのカレンダーを少しずらして懐中電灯を照らす。  「ほら、窓から明かりが入るのにカレンダーの裏と壁の色が一緒だなんて。こんな昔のカレンダーを今年になってかけたみたいに。たとえ管理人さんがいたとしても昔のカレンダーをはずして掃除して戻してるのってなんか変じゃない。」  「なんか理由があるのかも、そのままにしておきたいとか。」 そのとき部屋の入り口ではないほうの扉のほうで音がした。文字通り身がすくみ短い悲鳴をあげってしまったがそちらを見るとクローゼットと思っていた扉は隣の部屋とつながっていたようで隣の部屋の窓が見えた。外の暗さは部屋の闇よりはあかるい。その部屋のほうを恐怖心に抗って見ていると、麻美が腕を引っ張る。振り向くと目を見開いた彼女が窓を見ていた。窓ガラスには俺と麻美以外にもう一人少女が映っていた。 現実に少女がいる位置には誰もいない。ただ窓ガラスに映り二次元の世界からこちらを見つめている。二人とも無言でガラスの中の少女と見つめあう。予想外も度を越えると思考も行動もフリーズしてしまうようだ。 ゆっくり窓の少女の口が動き「誰。」と一言だけ聞こえた。いや正確にはそのように口が動いただけなのだがそう聞こえた気がした。 麻美が今度こそ長い悲鳴を上げた。 「いやだぁ。もう帰る。」  パニックを起こした麻美がドアへと走りドアノブに手をかけるが  「動かない。鍵かかってる。」  そんなわけないと思いつつ麻美と代わってドアノブに手をかけるとビクともしない。最初は武士か雄二がふざけて驚かそうとしているのではと考えていたが誰かが抑えているのであれば多少は動きがあるし押されて戻されるはずであるがまったく動くそぶりがない。しかしこの部屋のドアの構造から見て鍵はついていない。つまり鍵なんかかかっていないということになる。  「どうなってるのなんで開かないの。」頭をかかえ泣きじゃくる麻美。正直聞きたいのは
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