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「じゃっ、よろしくな!」
そう言って、渡辺くんはいつも通りぼくにほうきを押しつけてきた。
「あ、あの!」
そのまま帰ろうとする渡辺くんを、ぼくはほうきの柄をにぎりしめて呼び止める。いつも、ここまでは言えるのだ。
「はあ?」
でも、眉をしかめて振り返った渡辺くんに、それ以上何も言えなくなった。
「あ……、な、なんでもない」
これもいつものこと。渡辺くんは「あっそ」とだけ言って背を向け、他の友達に「おまたせー」と声をかけて走っていく。
放課後の教室には、ぼく一人だけが残された。
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