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「今日という今日は限界だからな…」
ぶつぶつ言いながらたどり着いたのは、家から30分程離れた所にある神社。
あれは確かぼくがまだ幼稚園の年中さんだった頃。おじいちゃんが言っていたのを思い出したのだ。
「豊、お家からちょっと離れたところに小さな神社があるのを知ってるかい」
「知らなーい」
「そうか。もし大きくなったら行ってみるといい。そこに祀られている大きな石には本物の神様が宿っていて、困った人を助けてくれると言い伝えられておるんじゃ」
その話はそこで終わり、次の年に亡くなってしまったから正確な場所は聞けてないけど多分ここだろう。
確かに小さいし、それ以上に古い神社だった。少ない石段を上がった先の鳥居は錆びた色になってるし、お手水は干からびている。その先にある社もボロボロだ。
大きな石はこの中に祀られているのかな。
近付くと、やっぱり古いけどなかなか大きな社だった。
あたりを見回し、境内に他に人がいないのを確認してからおそるおそる扉に触れる。
引き戸のようになっていてすんなりと開いた。中を覗きこむと、
「わあ…」
がらんとした空間の中央、確かに大きな石があった。土が払われた木の床に紫色の座布団があり、その上に置かれている。ごつごつした形で、石っていうより岩みたいだ。
目を閉じ手を合わせる。
「神様、お願いです。
渡辺くん…いや、誰に対しても言いたいことが言えるようになりたいです。お願いします!」
何秒か経ち…
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