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「…なーんてね」
ぼくは姿勢を戻した。
こんなのはただの気晴らしだ。友達に愚痴るよりマシだろう。
帰ろうとしたぼくの目の前で、ありえない事が起きた。
「えっ……」
フワッ、と石が浮いたのだ。
後退りするぼくの目線に合わせ、昔絵本で見た見上げ入道のように社の天井まで浮かび上がった。
「うわあぁっ…」
同時にどこからか黒い煙がわきあがり、石の下に集まっていく。マントかコートを着た人間っぽいシルエットになっていき、やがて人が振り向く時のように、くるっ、と石の向きが変わった。
凹凸の形、ぽっかりと空いた暗い穴の目…。
石でも岩でもなく、ガイコツだ。
「な、何だ…!?」
ぼくは夢を見てるのか。尻もちをつく、ガイコツは黒マントの体を曲げ、ぼくの顔をのぞきこんできた。
「何だ、だと?神様に決まっているだろうが」
しゃがれた低い声で言ったガイコツは黒マントからカマを取り出し骨の手で持った。
「そ、そんな…」
おじいちゃんの嘘つき。
「神様と見せかけて…死神じゃないか!!」
「何だと?俺は正真正銘神様だ。祈りは届いたぞ。とりあえず、殺せ」
「は?」
後ずさろうとしていると物騒な言葉が耳に入った。
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