第1話「旅立ち」(シナリオ)

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 がお前一人とは情けないものだ」 アルマ「仕方ないですよ。兄さん達はそれぞ  れやりたいことがあるんだから。まあ、ブ  ラコンが過ぎるのは同意ですけど」 ムジャダヒト「みんな寂しいんだ」 アルマ「え?」    ムジャダヒト、手のひら大の木箱を持っ    て振り返る。 ムジャダヒト「旅の準備は終わったのか」 アルマ「はい。一通り」    ムジャダヒト、木箱を机の上に置く。 ムジャダヒト「ならばこれも荷物に加えておけ」    アルマ、立ち上がり、机の前で箱を開    けると、中には腕輪が入っている。 アルマ「うわぁ……!」 ムジャダヒト「向こうへ行ったら何かと物入  りだろう。金に変えなさい」 アルマ「い、いいんですか? 大切なものな  んじゃ……」 ムジャダヒト「成績が悪くて卒業できなそう  だったら、教師のふところに入れてやれ」 アルマ「本当にそんなことしたら、めちゃく  ちゃ怒るくせに」 ムジャダヒト「当たり前だ」    ムジャダヒト、咳払いをし、椅子に座  る。足を組み、靴先を見つめる。 ムジャダヒト「途中で泣いて帰ってきても家  には入れてやらんからな」    ムジャダヒトに向かって腕の腕輪を振    るアルマ。 アルマ「(にっこり笑って)帰りませんよ。     
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