8話 写り込んだ写真

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「私は16歳の時、家族旅行で海に遊びに行ったの。そこで誤って溺れた私を、助けてくれたのがあなただった。波は荒れていて、人を抱きかかえて助けるのは困難だったと聞かされたわ。 そして目が醒めると、私は病院のベッドだった。2日間意識が無かったとの事だった。私はすぐにでも、あなたにお礼が言いたいと、お母さんに言ったわ。 でもあなたは亡くなったと聞かされて…ごめんなさい。それから度々、写真に知らない男性が写り込むようになって。 今、祈祷師の方にその話をしたの。 死に際に関わると、守護霊となって憑く事がたまにあるそうよ。それがあなただった。あなたは私を、守っていてくれたのね。ありがとう」 僕はポケットから、写真を取り出した。 全ての写真から、僕の姿が消えていた。そんな… ただ、中学の修学旅行、マコトとの写真だけは、消えずに写っていた。 そうだ。僕は思い出した。 この写真を撮った次の日に、海で溺れている彼女を見つけたのだ。 僕はその時は、まだ生きていたんだ。 僕は、彼女を見つめ返した。 「僕の事を、ずっと思っていてくれたんだね。本当にありがとう」 そして僕の意識は、遠い昔の中に消えていった。 1人残った彼女は、写真を握りしめたまま、ただ泣いていた。 終わり
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